先輩に聞いてみた!インタビュアーの知っておくべき“正しく聞き出す”スキル

kikawa mizuki

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UIデザイナー

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こんにちは!mizuki(@kikapyon)です。私はまだUIデザイナーとして、ユーザーの動きや感情をヒアリングするといったインタビューの経験が少ないのですが、ユーザーの声をプロダクトに反映するためにもインタビューは重要な手法ですよね。

リサーチに欠かせないユーザーインタビューですが、終わった後にちゃんと聞けたのかなと心配になったことはありませんか?

よりよくサービスやプロダクトを改善していくためにも、バイアスがかからない生の声をなるべく引き出せるスキルを学びたいなと思い、弊社の先輩あべさんにいくつかポイントを教えてもらいました。

インタビューを進める上で、必要な3つの軸

あべさんと話してみた結果、ユーザーの行動を知る上で、インタビューをする際に意識する点としては大きく3つの視点がありました。環境 / コミュニケーション / レポート準備の3つを軸に、コツやナレッジを共有していきます。

環境

まず簡単にすぐできることとして、インタビューする空間の環境です。温度や湿度日当たり、椅子の座り心地やテーブルの大きさ(私的スペース)、インタビュアーとの物理的距離なども意識できると心理的負担が少なくなります。また、お菓子を用意して緊張を和らげる方法もあります。その際は個包装の手の汚れないお菓子がおすすめ。

付箋やペンなどを使用する場合は、事前に用意しておくと良いでしょう。

コミュニケーション

ユーザーインタビューで最も重要なのは「聴き方」です。意識したことがありますか?

初対面の相手って誰でも緊張しますよね。大勢の人の前で話さなければならなかったり、インタビュアーが高圧的だったりしたらどうでしょうか?逆に相手が知り合いだったとしても、求められている回答が透けて見えてしまう質問の仕方の場合、本心と違うことを答えてしまうかもしれません。

このようなバイアスがかからないように配慮することで、正しいユーザーへの理解に繋がり、正しいアプローチが可能になります。

配慮

インタビュアーとして配慮できる点はたくさんありますが、その中でも重要なものを3つほどご紹介します。

  • 緊張をほぐす
  • おうむ返しする
  • 質問にあえて答えない

緊張をほぐすためにはまず語り手の話しやすい環境でインタビューを行いましょう。
そして最初にまずどうでも良い雑談をしてみましょう。聞き手に「どうでもいい話を許してくれる人」だと思ってもらえると、語り手もユーザーインタビュー中に本人にとっては「どうでもいい話」をしてくれるようになります。どうでもいい話の中に良い情報が隠れていたりします。
また、パソコンを見ながら質問しているとテストされている印象を受け、人によっては緊張してしまいますので、相手を見ながら話をするのがおすすめ。

おうむ返しすることで、インタビュイーは自然に同じ単語の意味を詳しく説明して質問に答えることが可能になります。もっと詳しい回答を求めているときは「〇〇ですか?それは具体的にはどういうことですか?」聞くと、バイアスがかかることなく掘り下げることができます。

質問には答えないとはつまり、インタビュイーの質問をインタビュイーに再度質問します。この目的は、研究環境にない場合(実際ひとりでプロダクトを使用している場合)と同じように問題を解決しようとしていることをインタビュイーに思い出させることです。

インタビュイーが例え回答に詰まっていたとしても「〇〇ということですか?」等誘導してはいけません。

インタビュイーが「これを購入するには登録する必要がありますか?」と質問してきたとしても、
インタビュアーとしてあなたは「どう思いますか?」or「もし今家にいるとしたら次に何をしますか?」or「これを本当に一人でやっている場合どうしますか?」というふうにあくまで一人の場合にどんな行動に出るのかにフォーカスすることができます。

質問

質問の仕方は大きく2つに分けられます。

  • オープンエンド型とは「昨日の旅行はどうでしたか?」「このお菓子についてどう思いますか?」のように、回答する人が自由に意見を発言できる質問です。
  • クローズドエンド型とは「昨日の旅行は楽しかったですか?」「このお菓子は美味しいですか?」など、Yes/Noで回答できる質問を指します。

クローズドエンドの質問では、回答者が「なぜそう思ったか」「どのように感じたか」のような背景や心理までは捉えられないため、質問はオープンエンド型をおすすめします。

次に重要なのは極力バイアスを排除し、話を聞くのに徹することです。ついつい、仮説検証に寄せるための回答を求めてしまうこともありますよね。意図せずともバイアスがかかってしまう場合があるので注意が必要です。

例えば、20代男性はサプライズをしたいと思っているという仮説検証のためにインタビューをしているとします。

「恋人に喜んでもらえると嬉しい」という回答をした男性に、

「それでは、サプライズなんかもしたいですよね?」と質問したとすれば、多くの回答者からはYesが返ってくるでしょう。

しかし、回答者の「喜んでもらいたい」は、記念日などの特別な日ではなく、日々の中でささいな喜びを感じて欲しいというものかもしれません。このようにバイアスがかかることによって本質的なニーズと乖離したインタビュー結果となってしまいます。

よって、ユーザーのニーズを正しく深掘りするためには、インタビュー中は誘導するような質問はせずに、話を聞くのに徹することが重要です。 「恋人に喜んでもらえると嬉しい」という意見の後には「それは具体的にどういうことですか?」のような質問をすることで、ユーザーを誘導することなく、より本質に近づくことができます。

また、聞きなれない単語が語り手の口から出た時には、正直に聞いてみましょう。知っているふりをしてしまうと、認識齟齬が発生してしまいうまく深掘れません。

最後に、語り手は自分の話が役にたったかを少なからず気にしています。お礼を伝えつつ、価値があったことを伝えると良いでしょう。そして、「自分の話は役に立っている」と語り手に感じていただくためにも、話の中で気になる部分があれば言葉と表情で素直に感情を伝えます。

レポート準備

レポート作成準備としては、録音や撮影があります。インタビュイーの表情を撮ることや、場合によっては手元などを撮ることがあります。ただ、撮られ慣れていない方だと(大半の方がそうだと思いますが)緊張したり不自然になってしまうのであくまでも自然に行うことを心がけると良いです。自然な感じで大丈夫ですよ等の声かけも効果的です。

一方で、発話をプロットするために、発話録・書き起こしをしたりしますが、かなり手間がかかります。動画を書き起こすのに録画時間の3倍~4倍ほどかかるとも言われており、実際にやるととても大変です。「Parrot」を使って自動で書き起こすとかなり時間が短縮されて効率化につながります。
ユーザーアクション/タッチポイント/ツール/感情などのタグの機能も便利です。

動画も同時に確認することができるので、具体的なイメージも湧きやすくインタビュイー(インタビューを受けている人)がどのようなテンションで、どのような表情で話していたのかを見ることができます。共有機能があるので、参加していなかったメンバーも一次情報にすぐにアクセス可能です。

おわりに

質問の仕方や、環境の配慮によって負担を軽減することで素直な意見を聞くことができます。環境 / コミュニケーション / レポート準備の3つを意識してインタビューしてみてください。

ここでご紹介した心得をインタビューで活かしていただけると幸いです。


参考:

【保存版】ユーザーインタビューとは?実施する目的やコツ、設計方法まで分かりやすく解説(https://blog.nijibox.jp/article/userinterview/#%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%92%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%EF%BC%93%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%84 )

UXデザインにおけるユーザーインタビューとは?方法・種類・実例ノウハウ集(https://goodpatch.com/blog/userinterviews )

Talking with Participants During a Usability Test(https://www.nngroup.com/articles/talking-to-users/ )

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